Particle Stripで軌跡を描こう

高橋 啓治郎

Particle Strip 概要

Particle Strip はパーティクルの連なりを扱うための仕組みであり、使うことによってVFX Graphでパーティクルの軌跡の表現が可能になります。

Particle Strip とはパーティクルを繋げてできる「帯」のことです。
通常のパーティクルはこのように独立した点を扱うのに対し、Particle Strip ではこのようにパーティクルを繋げてできる帯を扱うことになります。

この Particle Strip は通常のパーティクルと比較して若干複雑な仕組みです。
いきなり細かい設定を行うのは難しいかもしれませんが、Particle Strip を使う際には大抵この形になるという定型が存在します。

これがその定型のパーティクルシステムです。
左側にあるのは通常のパーティクルシステムとなっており、Trigger Event Rate ブロックそして GPU Event コンテキストを経由して右側にある Particle Strip のシステムへ繋がる形になっています。
このような形を使うことで、左側のパーティクルシステムの動きに沿った軌跡を右側の Particle Strip システムで描くというエフェクトを作ることができます。

定型システムの詳細

この定型システムを解説します。

上図の親のパーティクルシステムでは、Trigger Event Rate ブロックを使って1秒間に60回のイベントを発生させています。
つまり毎フレームイベントが発生するということです(※UI上では6が入っているように見えますが、実際には60が入っています)。

このイベントを GPU Event コンテキストで受け取り、Particle Strip に対して新しいパーティクルをスポーンしています。
つまり、ストリップをパーティクル1つぶん伸ばすという処理です。

このとき Inherit Source Position を使うことで親のパーティクルの現在位置をコピーしています。
こうすることでパーティクルの動きの軌跡を描くことができるわけです。

上の画像の Strip Capacity はストリップの最大本数になります。
その下の Particle Per Strip Count はひとつのストリップが何個までパーティクルを持てるかその最大個数を決めます。

なお、この定型のパーティクルシステムはVFX Graph Editor の右クリックメニューから Create Node > System > Simple Heads & Trailsを選択すると、一発で作成できます。

終わりに

Particle Strip の代表的な使い方は、このようなパーティクルの軌跡を描くというものですが、さらに使いこなすことによって様々な表現が可能になります。
例えば電撃を表現してみたり、ケーブルを表現してみたり、波形を表現してみたり。

Particle Strip は VFX Graph の可能性を飛躍的に押し広げる機能です。
ぜひ使いこなしてください。